高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)は、高齢者の雇用の確保、障害者の職業的自立の推進、求職者その他労働者の職業能力の開発及び向上のために、高齢者、障害者、求職者、事業主等の方々に対して総合的な支援を行っています。
ここでは、障害者の雇用支援に関する 助成金についてご案内します。
掲載情報は2023年4月現在のものです。ご利用される場合、必ず機構のHPで詳細と最新情報をご確認ください。
→障害者の雇用支援|独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構
障害者雇用納付金関係助成金
障害者雇用納付金関係助成金は、事業主等が障害者の雇用にあたって、施設・設備の整備等や適切な雇用管理を図るための特別な措置を行わなければ、障害者の新規雇入れや雇用の継続が困難であると認められる場合に、これらの事業主等に対して予算の範囲内で助成金を支給することにより、その一時的な経済的負担を軽減し、障害者の雇用の促進や雇用の継続を図ることを目的とするものです。
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障害者作業施設設置等助成金・障害者福祉施設設置等助成金
作業施設、作業施設等の整備を行う事業主の方への助成金・福利厚生施設の整備を行う事業主等の方への助成金です。 -
障害者介助等助成金
雇用管理のために必要な介助等の措置を行う事業主の方への助成金です。
ここでは「障害者作業施設設置等助成金・障害者福祉施設設置等助成金」の「障害者作業施設設置等助成金」についてご紹介します。
障害者作業施設設置等助成金
障害者を常用労働者として雇い入れるか継続して雇用する事業主で、その障害者が障害を克服し作業を容易に行えるよう配慮された施設または改造等がなされた設備の設置または整備を行う(賃借による設置を含む)場合に、その費用の一部を助成するものです。
共通事項
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助成金の種類
この助成金は、作業施設等の設置または整備の方法により次の2種類の助成金があります。第1種作業施設設置等助成金 作業施設等の設置・整備を建築等や購入により行う場合の助成金 第2種作業施設設置等助成金 作業施設等の設置・整備を賃借により行う場合の助成金 -
支給対象事業主
障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用する事業所の事業主であって、その障害者が障害を克服し作業を容易に行うことができるよう配慮された施設、または改造等がなされた設備の設置・整備を行う事業所の事業主です。
ただし、施設等の設置・整備を行わなければ、支給対象障害者の雇入れ、または雇用の継続が困難と認められる事業所の事業主に限ります。
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支給対象障害者
支給対象となる障害者は、「労働者」であって、次のイからハまでに掲げる方(在宅勤務者を含む。)で、事業主が4の支給対象となる作業施設等の設置または整備を行わなければ、雇入れまたは雇用の継続が困難と認められる方です。
イ 身体障害者
ロ 知的障害者
ハ 精神障害者
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支給対象となる作業施設等
支給対象となる作業施設等は「作業施設」、「附帯施設」および「作業設備」の3種類に区分される、次の作業施設等であって、第1種作業施設設置等助成金にあっては、支給対象事業主自らが所有するものをいいます。
(1)作業施設
支給対象障害者の障害特性による課題を克服し作業を容易にするために配慮された施設(障害者が作業を行う場所をいいます。)であって、その施設の設置または整備を行わなければ、支給対象障害者の雇入れまたは雇用の継続が困難であると認められるものをいいます。
なお、支給対象障害者が使用する施設であっても、申請事業主の事業に本来必要な施設と判断されるものは対象となりません。
(2)附帯施設
作業施設に附帯する施設で、支給対象障害者の障害特性による課題を克服し就労することを容易にするために配慮された施設(例えば、玄関、廊下、階段、トイレ等)であって、当該施設の設置または整備を行わなければ、支給対象障害者の雇入れまたは雇用の継続が困難であると認められるものをいいます。
なお、附帯施設は固定されていることが必要となります。
※ 事業所の附帯施設の新築にあたって車いす用トイレや手すり等の設置など「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」(国土交通省)に掲げられた整備を行うことは対象とはなりません。
(3)作業設備
支給対象障害者の障害特性による課題を克服し作業を容易にすることを目的として製造された設備(視覚障害者用拡大読書器等)および障害者の作業を容易にするために改造を加えた設備(改造部分のみが対象となり、設備全体は対象となりません。)をいいます。通常の事業用設備は対象になりません。
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支給額等
助成金の支給額は設置または整備に要する費用(以下「支給対象費用」といいます。)に「助成率」を乗じて得た額となります。算定式は次のようになります。ただし、算定式により算定された支給額が支給限度額を超える場合は支給限度額が支給額となります。
「支給対象費用」、「助成率」および「支給限度額」については、各助成金の説明を参照してください。
【支給額の算定式】 支給額 = 支給対象費用 × 助成率
第1種作業施設設置等助成金(設置・整備)
1 支給対象費用
(1)支給対象費用の算定
この助成金の支給対象費用は「作業施設」、「附帯施設」および「作業設備」ごとに次のように算定します。また、イ、ロの設置または整備に係る設計監理費を、建築士等に委託した費用についても、助成対象費用として認められる場合があります。この場合の建築士等への委託費用については事前着手とはなりません。
イ 作業施設
支給対象費用は、次の(イ)または(ロ)の場合に区分して算定される額となります。また、作業施設の設置または整備に伴う、既存建物または建物附属設備の解体、撤去および廃棄に係る費用および建築確認申請が必要な場合の自治体への申請費用は支給対象費用に含みません。
(イ )改修等により作業施設を整備する場合、下肢障害者のための作業施設の段差の解消等、支給対象障害者の作業を容易にすることができると認められる範囲の費用を支給対象とします。
(ロ )増築、改築または大規模な模様替え(注)および購入により作業施設を設置または整備する場合。
(注 )「大規模な模様替え」とは、主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根または階段)の一種以上について行う過半の改修をいいます(以下、同じ)。
ロ 附帯施設
支給対象費用は、附帯施設の設置・整備に必要な額で、支給対象障害者の就労を容易にすることができると認められる範囲の費用に限ります。
また、附帯施設の設置または整備に伴う、既存建物または建物附属設備の解体、撤去および廃棄に係る費用および建築確認申請が必要な場合の自治体への申請費用は支給対象費用に含みません。
なお、支給対象附帯施設を支給対象障害者以外の労働者が多く使用することとなっている場合等、上記取扱いによることが適当でない場合は、設置・整備に必要な額を、当該附帯施設を使用する労働者の数で除して得た額に支給対象障害者数を乗じて得た額とすることがあります。
ハ 作業設備
支給対象費用は、設備の設置または整備に必要な額で、当該設備の保守費用および設備の設置に伴う既存設備の解体、撤去、廃棄等に係る費用は支給対象費用に含みません。
また、複数の労働者が当該作業設備を使用する場合にあたっては、当該設備の設置又は整備に必要な額を当該設備の使用就労人員数で除して得た値に、支給対象障害者数を乗じて得た額とすることがあります。
(2)助成率および支給限度額等
イ 助成金の支給額は、(1)の支給対象費用の額に次表の助成率を乗じて得た額または次表の支給限度額のいずれか低い額となります。
助成率 | 支 給 限 度 額 |
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2/3 | ◯支給対象障害者1人につき450 万円 ◯作業設備については支給対象障害者1人につき150 万円 中途障害者に係る職場復帰のための設備の設置または整備にあっては、450 万円を超えない範囲で機構が定める額 ◯ 短時間労働者(重度身体障害者、重度知的障害者または精神障害者を除く。)である場合の限度額は1人につき上記の半額 ◯同一事業所あたり同一年度について4,500 万円を限度とする |
ロ 同支給対象費用に充てるため、助成金のほかに、国、地方公共団体その他独立行政法人等の公的機関から補助金等の支給を受ける場合の支給額は、支給対象費用の額から当該補助金等の額を控除した残りの額に助成率を乗じて得た額またはイの額のいずれか低い額となります。
≪作業施設等の事例≫
支給対象作業施設等は以下のような施設等のうち、支給対象障害者の障害特性上、その施設等の設置または整備を行わなければ支給対象障害者の雇入れまたは雇用の継続が困難であると認められるものであって必要最低限の範囲に限ります。
以下に助成金の対象として認められた事例、認められなかった事例についてお示ししますが、個々の状況等総合的に判断しますので、以下の事例で認められた措置内容が必ず助成金の対象になるものではありません。
◆第1種作業施設設置等助成金 助成対象と認められた事例
申 請 内 容 | 認められた内容 | |
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作 |
新規雇入れの対象障害者(車いす利用)に対し、就労する事業所出入口および事業所の就労する事務室内の段差解消をする。 | 対象障害者の動線上への措置について助成対象と認められました。ただし、床の老朽化による改修や、対象障害者の動線上以外の部分に係る施工の場合は助成対象とは認められません。 |
附 |
下肢障害のある対象障害者に対し、和式トイレを洋式トイレへ改修および手すりを設置する。 | 「必要最低限」の観点から、支給対象となるトイレの改修は1か所のみです。 |
対象障害者(車いす利用)に対し、事業所の出入口(職員通用口)に、可動式スロープを設置する。 | 固定することにより助成対象と認められました。 | |
下肢障害のある対象障害者に対し、事務所出入口から就業場所までの動線上(廊下)および、毎就業日利用する更衣室までの階段および廊下へ手すりを設置する。 | 対象障害者が毎就業日において、利用する部屋までの動線上であったため、就業場所以外であっても助成対象と認められました。 | |
作 |
聴覚障害のある対象障害者のために、クリーニング業務で使用する業務 用大型洗濯機および乾燥機の動作を知らせる音に代わるパトライトを 設置する。 | 対象障害者が毎就業日に利用する機械へのパトライトの設置であるため、助成対象と認められました。 災害時等の対応のためのパトライト設置については助成対象と認められません |
視覚障害の対象障害者に対して、パソコンを使用するデスクワークのための据置型拡大読書器および製品の在庫状況を確認する作業のための 携帯型拡大読書器を導入する(両業務とも毎就業日に発生する業務)。 | 毎就業日にデスクワークと保管棚の在庫確認業務が発生すること、および業務上明確な使い分けがあったため、助成対象と認められました。 |
◆第1種作業施設設置等助成金 助成対象と認められなかった事例
申 請 内 容 | 認められなかった理由 | |
---|---|---|
作 |
下肢障害のある対象障害者を新規雇入れ予定のため、平屋の事業所を新築する。 | 障害特性による課題を解消するための必要最低限の範囲を助成対象としています。このため、既存の事務所で対象障害者の方が就労できるよう、手すりや階段昇降機の設置等、費用が安価である措置を優先に助成対象とする判断となるためです。 |
附 |
事業所を新築するのに伴い、対象障害者のために車いす用トイレを整備する。 | 建築物の新築にあたっては、国土交通省よりバリアフリー設計のガイドラインとして「高齢者・障害者等の円滑な移動等に配慮した建設設計標準」が提示されております。そのため、事業所等を新築する際に、これに該当する設備等(トイレ、手すり、スロープ等)を整備する場合には、当該ガイドラインを踏まえて整備することが推奨されているため、助成対象とは認められません。 |
車いす利用の対象障害者に対し、段差解消のため、昇降リフト(置き型 固定なし)を導入する。 | 附帯施設については固定することが必要です。この場合、「固定」とは、施工業者により、床面等に設備を固定することを指します。 | |
上肢障害の対象障害者に対し、事業所正面玄関に自動ドアを設置する。 | 事業所正面玄関の自動ドア設置については、対象障害者以外にも広く寄与する設備であるため、助成対象とは認められません。また、就労する 事務室の出入口を自動ドアとする場合は、助成対象と認められる場合がありますが、支給対象費用は自動ドアの設置費用を当該事務室で就労する人数で按分します | |
作 |
聴覚障害の対象障害者に対し、音声文字化アプリ(文字化データ記録・ 外国語翻訳機能付)を導入する。 | 当該アプリには文字化データの記録機能や翻訳機能などがさまざまな 機能が備わっているため、対象障害者以外にも利便性の高い機能である ため、助成対象とは認められません。 |
知的障害の対象障害者がクリーニング作業中のプレス業務を行うため に、メーカーオプションによる安全装置がついた最新式のプレス機を新 規に購入する。 | 安全装置は作業中の誤作動等を防止するもので、対象障害者以外が使用 する場合にも必要な装置であり、事業に必要な設備の範疇となることか ら助成対象とは認められません。 |
第2種作業施設設置等助成金(賃借)
1 支給対象費用
(1)支給対象費用の算定
この助成金の支給対象費用は1か月分の賃借料(権利金、敷金、礼金、保証金、共益費、その他これらに類するものを除きます。)とし、「作業施設」、「附帯施設」および「作業設備」ごとに次のように算定します。
イ 作業施設・附帯施設
【支給対象費用の算定式】
支給対象費用=支給対象面積 × 支給対象作業施設・附帯施設の1㎡当たりの賃借料
ロ 作業設備
【支給対象費用の算定式】
支給対象費用 = 作業設備の賃借料 / 就労人員数 × 支給対象障害者数
(2)支給額および支給期間等
イ 支給額
(イ )助成金の支給額は、(1)の支給対象費用の額に次表の助成率を乗じて得た額または次表の支給限度額のいずれか低い額となります。
助成率 | 支 給 限 度 額 | 支給期間 |
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2/3 | ◯支給対象障害者1人につき月13 万円 ◯作業設備については支給対象障害者1人につき月5万円 (中途障害者に係る職場復帰のための設備の賃借による設置にあっては、13 万円を超えない範囲で機構が定める額) ◯ 短時間労働者(重度身体障害者、重度知的障害者または精神障害者を除く。)である場合の限度額は1人につき上記の半額 |
3年間 |
(ロ )同支給対象費用に充てるため、助成金のほかに、国、地方公共団体および独立行政法人等の公的機関から補助金等の支給を受ける場合の支給額は、支給対象費用の額から当該補助金等の額を控除した残りの額に助成率を乗じて得た額または(イ)の額のいずれか低い額となります。
ロ 支給期間
支給期間は、一認定につき3年間とし、支給対象障害者のために作業施設等の賃借を始めた日(賃貸借契約期間の開始日以降、支給対象障害者が使用を開始した日)の属する月の翌月の初日から起算した期間(当該賃借した作業施設等を支給対象障害者のために使用している期間に限ります)です。