デンマーク施設見学で見た「持ち上げない介護」の現状

ドイツとデンマークの高齢者生活施設を見学しました。

デンマークの「持ち上げない介護」は日本でも有名です。見学した施設のすべての寝室には天井埋め込み型のレールが設置されていました。モーター本体は28台、ただし全てが稼動しているわけではありません。入居者が必要でない場合は、モーター本体は別のところに収納されているとのこと。天井走行リフト以外では床走行リフトが4台稼動していました。施設スタッフが、「天井走行リフトは床走行リフトより22倍も腰痛になるのを防ぐことができるので、基本的には天井走行リフトを使う」と説明されていたこと。22倍も腰痛が防げるから使うと、エビデンスをもとに数値で明快、理論的に明言していることに驚きを感じました。
 
「日本では時間がかかるという理由でリフト利用を拒む職員がいますが、そういうことはありませんか?」と質問しました。職員の回答は「拒むなど、絶対にありえない。リフトを使わないことがどれだけ双方に危険か分かっているからです。体位変換などは手動(マニュアル)で介助することもあるが、リフトを使えるのに使わないという選択肢は考えられない」、と明言されていました。日本との大きな違いを感じました。
 

デンマーク・グルドマン社

設職員は移乗の研修を定期的に実施し、スキルアップを行っているとのこと。見学した施設の天井走行リフトは、当社が提携している世界最大の介護用リフトメーカー、デンマーク・グルドマン社製でした。グルドマン社も教育に力を入れており、設置1ヵ月後、3ヵ月後と定期的に施設内でリフトが適切に運用されているか定期確認をし、必要に応じてリフト研修を実施している、これは特にアビリティーズも行っていることであります。リフトは使い方やスリングシートが利用者によって異なってきます。既に継続的に施設と専門事業者の共通の意識と関係が非常に重要です。

 
また、私が感じた移乗に関しての日本との大きな違いは「意識の違い」です。日本では「移乗」が「作業」になっている介護現場が多いのではないでしょうか。そのためスピードが重要になっているのだと思いました。デンマークでは「利用者とスタッフの双方の安全」のためにリフトを使用していました。安全を提供するということは利用者の尊厳を守るということにも繋がってくるのだとあらためて確認できました。
 
当社が提携しているグルドマン社は、「Time to Care」(ケアのための時間)というメッセージを明確に打ち出しています。移乗は「作業」ではなく「ケアの一貫」であるという意味です。
 
甲信越営業部 松本営業所 所長 花岡 宏明
この記事の対象商品

この記事へのお問合せはこちらから。下のボタンを押すとお問合せフォームが開きます。

Share:
ニュースレターを講読