ご利用者の尊厳ある生活を考えた時、天井走行リフトは欠かせない介助のためのツール(道具)でした。

愛光園様は、「誰もが人間としての尊厳が保たれ、安心して共に生きる社会をめざします。」の基本理念の元、多様な福祉事業を推進されておられます。

この度は、障害者自立支援法に対応する施設「ひかりのさと のぞみの家」にトイレと浴室に天井走行リフトを追加導入されました。

施設名 社会福祉法人 愛光園
ひかりのさと のぞみの家 様 
製品 天井走行リフト:GH3
所在地 愛知県知多郡
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リフトの導入

 当施設では排泄は原則トイレで行なうことを基本方針にしていますが、トイレへの移乗、トイレに座った時の座位の維持に天井走行リフトを16~7年前から使い出しました。一昨年2月の建替えの際にトイレと浴室に追加導入を決めました。  全ての居室、トイレ、浴室といった移動や移乗が必要な場面に導入できればよかったのでしょうが、天井走行リフトは高額ですのでご利用者の尊厳性にとって最も配慮が必要な介助場面、双方ともに危険な要素が伴いやすい介助場面としてトイレや浴室を優先して導入を決めました。  もちろんベッドからの移乗にも床走行型のリフトやトランスファーボード・シートといった移乗用具は活用していますし、ご利用者の身体状況やご本人の希望に配慮してマンパワーのみでの移乗介助を行なうケースもあります。

持ち上げない介護に向けて

 機器は誤った使い方をすると危険を伴い事故につながりますが、正しく使えば双方が安心して使え、心身両面の負担が解消されます。  スリングシートのサイズや種類は利用者ごと、目的ごとにもっと整える必要があるのでしょうが、当施設では混乱を避けるために肩まで覆える脚分離型と2本ベルト式の2種類に限定したことで技術習得や新入職員への伝達が容易に行なえ、結果としてスムーズな導入に結びついております。

排泄と入浴

トイレはご利用者の身体状況に合わせて通常の便器とベッド式の2種類が用意されていて、排泄をしたい時にいつでも対応できるようにしています。  トイレ介助の際は主に2本ベルト式のスリングを使い、上体側はリフトのハンガーにかけたままで上体を支え、できる限り腹圧で自然に排泄できるようにしています。

天井走行リフトで入浴

 入浴は座位式の特殊浴槽と一般浴の両方で行なっています。ご本人の意思を尊重しておりますので、職員が2名で抱えて一般浴に入られるケースも無くはありません。ただ、天井走行リフトで入浴すれば職員に負担をかけずに長時間湯船にゆったり浸かれるので、脚分離式のスリングシートを使って天井走行リフトでの入浴を選ばれるご利用者もおります。

 導入当初はご利用者は吊上げられた時に目線が高くなるため、怖がられる方もおりましたし、吊られることで見られたくない部分も見えてしまい恥ずかしさを伝える方もおりましたが、タオルで覆うなど本人の気持ちに寄り添い工夫して解決をしています。

感じた使い勝手の向上

 今回の導入で製品の改良が重ねられていることを実感しています。ご利用者が吊られている状態では以前導入した機器とさほど昇降のスピードは変わりませんが、吊られていない状態(無負荷)では倍以上のスピードに感じられます。リフトでの介助は決して時間短縮にはならないので、些細な秒数かもしれませんが、操作者からすると短い秒数でも貴重に感じられます。

 また、以前の機器は充電できる箇所(ポイント)がピンポイントでしたが、今回の機器は、そのポイントの範囲が広がったため(端のある直線部分)、充電し忘れを解消できて良いです。欲を言えばどこにあっても充電できればよいのでしょうが・・・。

 ベッドからの転落の恐れがあるご利用者は畳を敷いて布団で生活していただいてる方がいらっしゃるのはこの施設に限ったことではないと思いますが、今後は布団に寝たままでも吊上げられる床走行型のリフトの開発をお願いします。

 私達は多くのご利用者から“ありがとう”と喜ばれたいと思っています。これが私達のモチベーションを維持する上で大きいのです。

ひかりのさとのぞみの家
副施設長、サービス管理責任者
資格/社会福祉士、介護福祉士

小野 嘉久氏

この内容は、2013年11月から2014年1月の間に行なわれたインタビュー記事です。

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