“求めたのは、合理性はもちろん、ご利用者への配慮だったのかな” どのような身体状況の方にもお風呂を楽しんでいただきたいという私たちの“心遣い”はこれからも変わりません。
施設名 | 医療法人山育会 介護老人保健施設 かがやき 日新病院 様 |
製品 | 入浴システム2000Ver2プレスト・タイプB、リフトトロリーボレロ(電動)・ミランディ |
所在地 | 群馬県桐生市 |
病院・施設の特色と入浴の課題
私たち山育会は多種にわたる病院・高齢者施設を運営しており、重篤な患者様・ご利用者を多く受けいれています。中でも「かがやき」は一般棟50床、認知症の専門棟50床であり、法人の中核施設になっております。
老人保健施設の3階は50床中30名が介助入浴の対象となる方達ですが、拘縮が強く座位姿勢が保持できない方や褥瘡のある方等は、当時使用していた車いすタイプの特殊浴槽では入浴できないため、数人がかりで大きなネット状のシートで身体をくるんで数人で持ち上げて個浴で入浴していただいたり、シャワー浴で我慢していただいている方が少なくありませんでした。
アルジョとの出会い
入浴好きのご利用者の気持ちに応えられる機器を見に、国際福祉機器展(H.C.R)に行きました。会場では「この特殊浴槽があればあの人をお風呂に入れてあげられるかな…」なんて考えながら各社の特殊浴槽を見学しました。 アビリティーズさんのブースで「これ(アルジョ)が使えるといいなぁ」という浴槽がありました。- 理由の第一は当時使用していた車いすタイプの特殊浴槽では強い拘縮により入浴用の車いすのリクライニングの形に姿勢が合わせられず入浴させてあげられない方がいらしたのですが、この方にも入浴していただけると思えたからです。
- 第二はストレッチャーの枕やクッションの柔らかさでした。姿勢が入浴用車いすの形状に合わせられないことから、硬めのクッションや枕の上に横になって「痛くないかな」と気になっていました。
展示会場でもクッション部分に触れては素通りを繰り返す中、思わず「試乗していいですか?」と口をついたのはアルジョだけでした。
HCR から戻り、丸山センター長に特殊浴槽の買い替えをお願いしました。高額な機器でもあり、特殊浴槽の買い替え指示がでていたわけでもなく、私たちもどう切り出したらよいか判らないままでのお願いでしたが、展示会場でアビリティーズさんのスタッフの方から説明いただいた介護労働者設備等導入奨励金制度(当時:補助額上限300万円)の事も背中を押してくれたようでありがたかったです。
私たちの舌足らずの説明でも、私たちの考える「人が人を介護するということ」が伝えられたからかもしれません。快く了解をいただきました。これであの人とあの人、あの人もシャワー浴でなく、お風呂に入れられると想像するだけで非常に嬉しかったことを憶えています。反面、「そう言えば、使ったことはないけど…ダイジョブなんだよね」と不安も口にし合いました。
人が人を介助をするということ
実際にストレッチャーに乗られる方の中には、コミュニケーションを取るのが難しい方も多くいらっしゃいます。「寝た状態で入浴していただくだけでしょ」「どれだってそのための機械でしょ」と、むしろケアスタッフに負担がかからない機器がよいとされがちでしょうが、私たちはどのようなご利用者であっても、できるだけ心身両面に負担や違和感を感じさせずに入浴を楽しんでいただきたい、と思っております。
お湯に入る感覚を大事にしてあげたい
「お湯に入る」という感覚も大切に考えます。特に高齢者にとっては温かくはられたお湯に浸かることこそお風呂そのものでしょうが、専用の車いすに座り、浴槽に入ると「ガチャ」と扉が閉められ、まるで沈められるかのように足元から勢いよくお湯が湧き出てくるのは「ご利用者は気持ちいいのかな」と感じていました。導入後の感想
以前の車いすタイプの特殊浴槽と比較すると、アルジョの特殊浴槽はこの施設のご利用者にもケアスタッフにも総てに都合よく快適に感じられました。
- 小柄なスタッフでも、介助しやすい高さにストレッチャーと浴槽の両方を調整できることはありがたいです。浴槽の中で暖まりながら拘縮した手を開いて洗ったり、温まりながら脚の曲げ伸ばしをしてあげたりが、とてもしやすくなりました。
- 浴槽の下側も掃除がしやすく、衛生的に使うことができるのは本当に良かったと思います。以前の特殊浴槽を撤去する際に見た特殊浴槽の底に隠れた部分の汚れには驚かされましたし、臭いの素もわかりました。
- ビニールでカバーされた穴あきのマットレスはウレタンタイプと比較して水切れが早く、洗浄・消毒が素早くできてうれしいです。
とスタッフからの感想が寄せられています。
スイッチなど操作方法の体系が国産と違い慣れが必要だったり、大柄な人を乗せるにはストレッチャーの幅がもう少しあったらなと買い替え当初は感じました。ケアスタッフもご利用者も慣れた今ではそれほど大きな問題とは感じなくなりました。
ご利用者皆が入浴を楽しんでいただけるような機器を探し求めた結果、我々ケアスタッフにとっても負担が軽減され作業できる機器にめぐり合えました。
今回、アビリティーズさんの奨めで「フルメンテナンス契約」で購入したので定期点検、消耗品の交換などサポートが実に迅速で助かっています。
コスト削減は経営上重要なファクターであり、意識します。循環濾過式特殊浴槽でお湯を繰り返し再利用するか、交換式で清潔な入浴サービスをご利用者に提供するかで迷いましたが、衛生的な環境をご利用者に提供することを優先的に考えました。これからも良質な入浴サービスをご利用者に提供していきたいと考えています。
この内容は、2013年11月から2014年1月の間に行なわれたインタビュー記事です。
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