コラム

海外視察レポート(ドイツ・デンマーク)

2016年11月22日

 私は、アビリティーズ・ケアネットに入社して以来12年、故郷に近い、松本営業所に勤務しています。このたび、世界的なリハビリ機器メーカーであるドイツ・メディカ社の創立25周年を記念するInternational Thera-Congressに会社から派遣されました。メディカ社は長年の当社の有力な提携先です。またコングレス終了後、ドイツ、デンマークの病院や施設での見学をする機会が得られました。

6月は湿度も低く、太陽がなかなか沈まない白夜のシーズン。とくにデンマークでは夜10時を過ぎても明るく、多くの市民がレストランで遅くまでディナーを楽しんでいたのが印象的でした。初めてのヨーロッパの旅で、環境、制度、考え方など日本との違いを痛感し、たくさんの刺激をいただきました。


甲信越営業部 松本営業所 所長事務取扱 花岡 宏明

メディカコングレス(メディカ社 International Thera-Congress)レポート

 メディカ社は、神経学をベースとし、セラピーアプローチにもとづくユニークなトレーニング機器を開発、製造しています。今回のコングレスでは、11カ国(ドイツ、チュニジア、ルクセンブルク、スペイン、ベルギー、メキシコ、コロンビア、ロシア、キューバ、ドミニカ)から13人のセラピストが招かれ、それぞれが実践しているセラピーについて報告がなされました。メディカ社は25年前の創業当初、主としてボバースコンセプト(※)に基づく製品開発をしていましたが、医療現場のニーズと多様化する治療方法に対応して新しい機器開発を進め、世界のマーケットで大きなシェアーを確保するにいたりました。

 これらの機器は世界各国の最先端神経リハビリの一つとして臨床報告が行われており、また、臨床報告が行われています。日本ではティーゴやバロの導入が急速に進んでいますが、これからはイーゴのようなモーターアシストが付帯した免荷歩行訓練機器の導入も必要であると確信しました。

デンマーク施設見学で見た「持ち上げない介護」の現状

 さて、コングレス参加のあと、ドイツとデンマークの高齢者生活施設を見学しました。(デンマークは2009年に特養ホームが全国的に廃止され、ケア付き住宅に転換された)その施設見学のレポートは他の機会にさせていただくことにして、デンマークでの「持ち上げない介護」について、報告します。

 デンマークの「持ち上げない介護」は日本でも有名です。見学した施設のすべての寝室には天井埋め込み型のレールが設置されていました。施設スタッフが、「天井走行リフトは床走行リフトより22倍も腰痛になるのを防ぐことができるので、基本的には天井走行リフトを使う」と説明されていたこと。22倍も腰痛が防げるから使うと、エビデンスをもとに数値で明快、理論的に明言していることに驚きを感じました。

日本では「移乗」が「作業」になっている介護現場が多いのではないでしょうか。そのためスピードが重要になっているのだと思いました。デンマークでは「利用者とスタッフの双方の安全」のためにリフトを使用していました。

詳細なレポートはこちらをご覧ください。

海外視察を通して

 最先端の医療・福祉現場を垣間見えた視察でした。デンマークにおいては福祉機器が十二分に利用者の生活を支え、尊厳を保ち、自立を促すための手段として確かな存在意義が確立されていました。車いすは利用者の心身の状況や生活ニーズに適合するものが使われ、またトイレの手すり一つにしてもできるだけ自立可能な高さや位置へスライドできるようになっていました。またスイッチ操作にて電動でスプーンが動き、ご自分で食事ができる福祉機器も実際に施設で使っていました。非常に操作に慣れるまで時間がかかりそうな機器でしたが、それでも一人で食事を摂るために必要な機器だと市が判断し、無償で提供されています。もしもその食事用具がなければ、代わりにスタッフが付き添い、時間をかけて食事介助をすることになり、その人件費ははるかに高くつくのはもちろん、利用者も介護者なくしては食事が出来ないという、ある意味拘束された関係に甘んじなければならないことになります。福祉機器の利用によって可能になる「自立」の意味をしっかり考えるべきです。

 日本では介護保険制度、医療保険制度の変化に伴い、在宅復帰への流れがより一層強まり、医療と福祉の連携が求められています。また、今年4月には障害者差別解消法が施行されました。国、県、市町村においては差別禁止が「義務」となり、「合理的な配慮」が求められています。自立と尊厳を保持する福祉機器の開発、普及が益々必要となっております。アビリティーズグループの一員として、リハビリ機器・福祉用具の角度から少しでも利用者・患者の生活の一助になれるような活動をしてまいりたいと強く思います。