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障害のあるお子さんと障害のないお子さんが共に学ぶ “インクルーシブ教育” のための設備
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「障がい者の雇用の促進等に関する法律」の改正による、障がいのある教職員の働きやすい環境整備
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災害時の避難所となる小中学校での高齢者や障害者への配慮
これらは、学校に求められる設備面のバリアフリー化です。ここではその中の”トイレ”についてのご提案です。
学校のバリアフリー化に関する令和4年度整備状況報告では車椅子使用者用トイレの設置状況 校舎70.4%、屋内運動場41.9%となっています。一見進んでいるように見えますが、この報告はトイレの「有り無し」だけを回答したもので生徒数や区画・スペースを考慮したものではありません。
別の整備状況では エレベーター設置 校舎29.0%です。これでは、エレベーターの無い校舎で授業を受けている車いす生徒にとっては、車椅子使用者用トイレの使用が容易ではないことを示します。(※1その理由と解決策)
実効性のあるバリアフリー化には、各階への車椅子使用者用トイレの設置が望まれます。視点を変え、これを車椅子使用者専用と捉えると追加の設備や費用となりますが、誰でも使用できるユニバーサルトイレとすることで利用度の高い設備になります。
保健室へのスマートトイレの設置
車椅子使用者用トイレを「有り無し」の基準ではなく、施設の品質と利用率の向上を目的とした ”保健室へのバリアフリートイレの設置" が進んでいます。これは、バリアフリー化の対応と共に“保健室の品質向上”を実現します。
“保健室の品質向上”の課題
保健室は生徒の体調の変化などで利用されますが、そこにトイレがないととても不便です。
トイレの多くは、特定階の端などにある場合がほとんどなので、保健室からトイレを使用したい時には、不調な心身で階段を昇降したり、長距離を歩いたり、室外に出るのに身だしなみを整えたりする必要があります。そんな時に、保健室にトイレがあるととても便利です。
ですが、保健室に水洗トイレを設置することは、設置条件からは大部分の学校ではほぼ不可能です。男女別に設置するなどということも現実的ではありません。
そこで、次の特長を持つ スマートトイレ が有効です。
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ユニット式(組み立て式)で床配管工事が不要の水洗式トイレ
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車いすの方はもとより、多様な身体状況の方にでも使用しやすい手すり等が標準装備
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入口に段差が無く、車いすでも容易に利用できるバリアフリー設計
そして今後、多様な方が共存する共生社会やイングルーシブ教育が浸透していくと、性的マイノリティの課題がでることになります。
生徒では性同一性障害が想定されます。
【私はどっちを使用するの、何故悩むのだろう】
そのような課題に、男女区別無くジェンダーフリーで使用する事ができるユニバーサルタイプの”スマートトイレ”は有効です。
学校にスマートトイレを設置した事例を紹介します。
スマートトイレの設置が期待される環境
病院のトイレはどうでしょうか?
病院は心身が万全ではない方が利用するので、高齢者や車いす利用者等が多くなります。バリアフリー化されユニバーサルデザインの安心・安全なトイレの必要性は高くなります。
また、感染症対策に個室トイレも必要になるでしょう。
しかし、充分な量のトイレがなく追加設置したいが、設置に適した場所や費用が悩みの場合もあるものと思われます。
このような課題に応えられるのが、個室タイプで比較的設置場所を選ばないユニバーサルデザインのスマートトイレです。
“スマートトイレ”はバリアフリーでユニバーサルタイプのトイレであり、次の特長があります。
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天井や壁を通す給排水で設置場所の制約が少ない
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大がかりな工事不要で、設置費用は安価
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短い工事期間
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移設の容易性
これらの特長で、学校の教室や廊下の他、倉庫内、事務所内 への設置が進んでいます。
公共的な設備等の特別特定建築物にはバリアフリー化が求められます。ですが、建物の構造、費用、長い工期などで、バリアフリートイレの設置がすすめられない場合もあるでしょう。そんな時の打開に“スマートトイレ”をお薦めします。
‶スマートトイレ”の詳細は下記よりご確認いただけます。
※1 「エレベーター設置 校舎 29.0%」の理由と解決策
エレベーター設置には建築基準や安全基準などがあり、設置不可能な校舎があることが想定されます。
その場合の階段移動に使用されるのが “可搬型階段昇降車” です。車いすに乗ったまま階段を昇降できるクローラー型階段昇降機です。安全上、使用できる階段の条件はありますが、設置基準の制約はなくなります。可搬型なので移動性は高く、学校には良く採用されています。
参考記事
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