2021年08月23日

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【大和市立コミュニティセンター 中央林間会館に設置された 車いす用階段昇降機 アルティラ】

 

大和市立コミュニティセンターのバリアフリー化への取組み

コミュニティセンターは住民が身近に利用できる地域の活動拠点です。住民の身近な場所にコミュニティセンターを設置するために、効率的な空間づくりにむけて廊下や階段などの共有部分は限られた広さに設計されました。「バリアフリー」という言葉が一般的でなかった時代では、コミュニティセンターのバリアフリーへの配慮は限定的でした。

このような時代背景のなかで神奈川県大和市では、35年も前から「誰でもが利用できる施設」にむけてコミュニティセンターのバリアフリーに配慮してきました。

大和市では昭和50年代後半からコミュニティセンター整備事業の計画が始まりました。事業計画のなかで課題となったのが障害者の階層移動でした。限られた建物面積でエレベーター導入は見送りせざるを得ない状況でした。バリアフリーに関する情報が限られている中で、エレベーターに代わる昇降手段への検討が進められました。

静岡県弁護士会館に国内最初の車椅子用階段昇降が㈱日本アビリティーズ社(現アビリティーズ・ケアネット㈱)(以下同社)によって導入されました。そこで、1986年に当時の大和市建築担当者とコミュニティセンター計画担当者が静岡県弁護士会館で車椅子用階段昇降機を体験しました。

車椅子用階段昇降は階段壁にレールを取り付けて、使用時にかご(車椅子が乗車する部分)を広げて使用が終わればかごを閉じて収納することができます。限られた共有部分を有効に活用して障害者の階層移動ができる解決策として車椅子用階段昇降が採用されることになりました。

1988年(昭和61年)4月に車椅子用階段昇降機を導入したコミュニティセンター下和田会館が開所しました。以後、大和市内15館のコミュティセンターで車椅子用階段昇降機が順次導入されました。

 

既存レールを活用した車いす用階段昇降機の更新

既存レールを再利用して更新された車いす用階段昇降機 2021年4月

【既存レールを再利用して更新された車いす用階段昇降機 2021年4月】

 

近年でも住民の高齢化に対応したコミュニティセンターとして大規模なバリアフリー改修を施さずに地域の活動拠点として大切に利用されています。一方でバリアフリーを維持するために課題となったことが、30年を超過して保守部品の確保が難しくなった車いす用階段昇降機の更新でした。

限られた財源で最新の車椅子用階段昇降機に更新する方法が検討された中で、大和市では既存レールを活用して駆動部分とかごを更新するアップグレードを一部のコミュニティセンターで採用しました。

アップグレードによってレール費用と付帯工事費を削減できることや、工期短縮により休業期間を短縮することができます。車いす用階段昇降機が導入されたコミュニティセンターへ最新の車椅子用階段昇降機が低予算・短納期で更新されました(2019年1月に鶴間会館、公所会館、下和田会館、深見南会館の4館、2021年4月に中央林間会館)。

未使用時はコンパクトに収納でき、通行を妨げません。左は使用時、右は未使用時

【未使用時はコンパクトに収納でき、通行を妨げません。左は使用時、右は未使用時】

 

障害者差別解消法(1993年(平成28年)施行)によって、公共施設へのバリアフリー対応が義務化されました。共用部分の広さが限られるコミュニティセンターへのバリアフリー化改修と住民への障害者差別解消にむけた取り組みは始まったばかりです。

障害者への尊厳やバリアフリーなどの取り組みが浸透していなかった時代に大和市が先進的に取り組んだ「誰でもが利用できるコミュニティセンター」は、利用する住民への障害者差別解消にむけた啓発活動となり、長い時代をかけて醸成させた共生社会への実現につながりました。



車いす用階段昇降機 アルティラの詳細は下のクリックでご覧いただけます。

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