車いすで動きやすいスペースを作り、自力で日常生活が行える住宅改修

2019/02/18

概要

Aさん(男性83歳)は元々ポリオの疾患があり、何とか歩行器で移動が出来ていたものの、クモ膜下出血で左麻痺の後遺症が残り、電動車いすを使用した生活となりました。

最近は、トイレや浴室が使いづらくなり車いすの移動も難しく、自力での生活が難しい状況になりました。

奥様も高齢で介助が困難になってきたことから住宅の改修を行いました。

詳細

現状と解決したい問題

【お住いの状況】

木造2階建ての戸建て住宅。その1階について。
奥に和室、洋室と続きで和室、キッチン、洗面、浴室、トイレ。
玄関側の洋室を寝室と書斎として使用。奥の和室は入口に段差があり本人は入れず、納戸として使用している。
現状の困っている点です。

  • 浴室前室の洗面所が狭く着替えもしにくい。(写真C)
  • 浴室の入口に段差があり、浴槽が深く、入れても出にくい。(写真C)
  • トイレ前、入口も狭く段差が有り、廊下も曲がっている。(写真A,B)

住まいの現状

改修前平面図

【 Aさんの状況 】

1.生活面

ご夫婦2人住まい。奥様、本人とも地域での活動を活発に行い外出する事も多く、Aさん一人でも出かける事がある。
 室内や、室外への出入りなど色々と工夫をしながら生活されている。

2.身体面

室内、室外とも電動車イスを使用し、自分一人で出来る事は自分で行っている。
トイレも入口で車イスから降り、手すりを伝って便器まで移動していたが、途中で動けなくなり奥様に助けを求めることも多くなった。

ポータブルトイレの使用も考えたが、やはり自力でトイレへ行きたいとの希望が強かった。 入浴はヘルパーさんが援助に来るときはヘルパー介助で入浴し、それ以外は奥様の介助で入浴していました。奥様も高齢になり、腰痛などで介助が困難になってきていた。

改修の目的

車いすで動きやすいスペースと動線を作り、本人が自立して日常生活を行えるようにすること。高齢な奥様の介護を軽減すること。

【目標】
  • 電動車いすで便器近くまで行き自力で便器への移乗が出来るようにする。
  • 浴室、トイレ、洗面までの動線を電動車いすで移動しやすいように車いすの回転スペースを確保する。
  • 入浴も出来るだけ自力で楽に行えるようにする。
  • 寝室への出入りをしやすくする。

改善のポイント

 

生活しやすいレイアウトに変更

トイレと離れていた寝室をトイレに近い洋室へ移しました。
納戸となっている和室を、洗面所・トイレ・浴室として再配置し、車いすでの移動しやすいスペースを確保しました。

改修後平面図

改修後平面図

 

電動車いすで便器近くまで行き自力で便器への移乗が出来るようにする。

電動車いすで便器近くまで行き自力で便器への移乗が出来るようにする

  • 床の段差を無くし、便器横に車いすを近づけられるよう入口の位置を変更いました。
  • 開口部を広くとるために建具を2枚引戸にし、L型手すり、跳ね上げ手すりの設置、補高便座を設置しました。
  • 将来介助が必要になることを考え、介助をしやすく元の入口側も開けるようにしました。

車いすを使用する「浴室、トイレ、洗面」の動線の改善

12_r2_c5.jpg

既存の洗面室は撤去し、和室に洗面と脱衣室、浴室を持って来て、
寝室前に車イスで回転できるスペースを作りました。

12_r1_c1.jpg

洗面台は車いすのままで使用できるものに変更しました。

入浴も出来るだけ自力で楽に行えるようにする

お住まいの状況

浴室と脱衣を段差のないようにし、扉も引戸としました。
浴槽へ入るにはバスリフトを使用して、入浴の介助を軽減しました。

寝室への出入りをしやすくする

洗面台は車いすのままで使用できるものに変更しました。

お客様に関する情報

使用者 個人
年齢 80代
性別 男性
疾病 ポリオ、くも膜下出血、左麻痺
利用した制度 介護保険

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