自立生活を保つための改修(大規模な改修事例)
概要
介護が必要な母親(84歳)は、築40年のたった現在の家では生活しづらく、介護施設への入居を検討していましたが、ご家族のできるだけ同居を続けたいとの希望がありました。
転倒リスクを少なくし「安心して暮らせる家」と将来の介護の軽減、プライバシーの確保をポイントに、全面的なリフォームを行いました。
詳細
お住いの状況
2階建ての戸建てであり、1階に二間続きの和室、トイレ、キッチン、浴室があります。和室の一室をAさんの寝室と家族の食事の場にしていました。
和室2は主に収納部屋として使われている。キッチンは棚など物が多く、テーブルが置けない。トイレ・浴室は、前室の洗面所が狭く、移動しにくく着替えもしにくい。
2階には長男夫婦の寝室と、子どもの部屋があります。
家の中は多くの荷物が整理されず部屋のあちらこちらに積まれている状況で、足腰の弱いAさんには、それが歩行の障害の一因にもなっていました。原因は、
- 収納スペースが極端に少ない間取りにもありました。
- Aさんの部屋は寝室兼家族の食事の場所でもありました。
- トイレや浴室、洗面所は狭く、Aさんのいる部屋から遠く、段差もあるので使いづらい状況にありました。
Aさんの状況
- 生活面
長男夫妻はともに働きに出ており、日中は独りになります。
テレビを見たり、編み物をしたり、近隣の友人が訪ねてくることもあり、地域とのコミュニケーションがとれています。 - 身体面
足腰が弱くなってきていますが、自分でゆっくりと歩くことはできています。
トイレは、動線が長く転倒リスクもあるのでポータブルトイレを使用しています。
お風呂は、長男が介助しています。週2回、ヘルパーさんに援助に来てもらっていました。
要望は、Aさんの部屋と使いやすいトイレ、浴室のほか、ダイニングキッチンの設置等と多岐にわたりました。
提供内容
ご要望を伺い、次の2つを重点ポイントにしてプランを作成しました。
1.転倒リスクを少なくし、「安心して暮らせる家」と将来の介護の軽減
- ポータブルトイレを使用せずに近くにトイレを設置し、自立生活を保てるようにします。
- 浴室までの通路や脱衣室、浴室が狭く状態を、動線と通路の整理します。
- 敷居や扉枠で段差がいたるところにあるので、床レベルを同一にして、移動が楽にできるようにします。
2.家族間の生活サイクルの違いと、プライバシーの確保
- 母親には、自分の寝室が家族の食事の場としていることでのストレスがあるので、母親の寝室と家族の食事の場を分けプライバシーを配慮します。
※1階の床レベルを同一にすることで、全ての部屋を段差無しで行けるようにします。
改善のポイント
居間・寝室
居間・寝室
(寝室から居間を見る)
扉を閉めもスリットから内部の動きが見え、母の安否が確認できる。
壁面は、まぶしさや刺激を低減させるようアイボリー色にした。
従来からの柱や鴨居を残すことで、住み慣れた家であるとの認識ができるように。
ダイニングキッチン
ダイニングキッチン
奥にあったトイレと浴室を撤去してスペースを広くして、対面キッチンとテーブルを配置しました。
家族全員で食事ができます。
洗面所・浴室
洗面所・浴室
洗面所を広くすることで、着替えが楽にできるようになりました。
車いすが回転できるスペースを考慮しています
浴室暖気を導入して、ヒートショック対策をしている。
出入口に段差ができないようにした。
玄関・階段
玄関・階段
(外から玄関ホールを見る)
夕方や夜間の移動の際に上り框を認識し、
転落リスクの無いように足元を照らす間接照明を設置している。
階段幅が狭い為、丸棒状の手すりだと狭くなってしまうので平たい手すりとした。
階段部分は蹴上と踏面の材質と色を替え、視認性確保と踏み外しが無いようにした。
改善後の様子
Aさんの部屋にトイレを設置することで、動線が短くなりトイレの不安が取り除かれた。
1階部分の段差が無くなり、将来、車いすを使用することになっても、お風呂にもいける、安心な住まいになったと喜んでいただけました。
また、これまでAさんは、家族の食事の場所、共用の部屋で生活してきたこともあり、ストレスがあったようですが、専用の部屋を確保できたことでとても楽になったと伺いました。
お客様に関する情報
使用者 | 個人 |
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年齢 | 80代 |
性別 | 女性 |
利用した制度 | 介護保険 |
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